Ricsung story

【　吸血鬼ハンター　】
 

[6回]

「吸血鬼ハンター？何それ」

 恋人のヘソンから本当の職業は何かと問い詰められた。


表向き大学の准教授で視聴覚研究をしている事になっているが、
裏の職業はこの研究所で密かに行われている吸血鬼ハントだ。

同棲を初めて半年、出張の多さにヘソンも薄々怪しいと感じていたのだろう。
“浮気？”と聞かれなかっただけ、よしとしようか。

ただ、この職業はこの世の中の人間に言ったところで、
信じてもらえるものではない。

俺の耳は普通の人間が感知することの出来ない超音波を捉える。

まだ十代の頃…若者がモスキート音を聞き分ける事が出来る年代だ。
下校途中のビルの谷間で、超音波による大音量の
ヘイトスピーチ（極めて不愉快な音）が聞こえてきた。

 耳を押さえても音が体を突き刺すように、
立っていられずその場にしゃがんだ。

と、同時にピタリと音が止み、複数人の大人達が俺を囲み、
“吸血鬼ハンター”と名乗った。

そして、“微量のモスキート音を聞き分ける事ができる人間を探している。
超音波によるスカウト実験でお前は合格した”と告げられた。

まだ世の中を知らない俺は、
差ほど疑う事もなく、収入の良さや、
人と違う能力を買われた事が嬉しく、吸血鬼ハンターとなった。

 「ヘソン、人に言うなよ？」
「言わない。けど、エリックの事をもっと知りたい」

 吸血鬼
彼らの食事は人間の血だ。

吸血された人間は何故か消えて無くなってしまう。
人が居なくなる“神隠し”は奴らの仕業だ。

コウモリと同じ能力を持つ為、
呼吸器の途中にあるヒダに空気を送り超音波を発生し、
仲間同士意思疎通を行う。

言葉として聞き取ることの出来ないこの超音波を
特殊装置によって言語変換し、
居場所を突き止め吸血鬼をハントする。

目的は犠牲者を減らす為だ。

ターゲットとなる人間がどんなタイプなのかは、目下研究中。

「ねぇエリック、俺、エリックが消えたら困る」

「大丈夫、俺は吸血鬼から襲われたりしないよ」

 「そうじゃなくて…その…」

 「何？」

 「俺がエリックを吸血しないように、ちゃんと満足させろよ？」

 「え？」

 「エリックの研 究材料にならなってもいいって言ってんの！」

 「ごめん、よく理解できない。ヘソン、吸血鬼なのか？
いや、待て！お前はちゃんと食事をしている。
しかも、ヘソンからヘイトスピーチなんか聞こえた事無いぞ？」

「エリの研究所はまだまだ甘いな。
全ての吸血鬼が生き血を吸うわけじゃないし、
ヘイトスピーチをするわけでもない。
でも、エリックとヤってる時は我慢できなくて、
超音波を出してしまうけどな。
エリも聞き取ってるハズだけど？」

確かに…

ヘソンの追い詰められた喘ぎは超音波のように、
俺の身体を震撼させ、官能的に狂わせる。
こんな人間にそうそう巡り会えるものではないと思っていたが…。

「お前、新種か？」

「さぁ～、どーだろうねー？」

「エリ、俺の事、研究してみる？」

「俺はお前を研究材料にしたくない！」

「じゃー…吸血するかもよ？」

「お前になら消されてもいいぞ」

 「ヤダ」

 「何だよKK。ヘソン、超音波出してみて？」

 「エリが出させてょ？」

 そういうと、
ヘソンはこれまで通り吸血の牙を隠したままキスを始めた。
エリックにしか聞こえない声を出しながら。

 


おしまい♥


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毎度、文才のないお話に付き合って頂き、
ありがとうございます！

このエリ写真、このお話のようにしか見えなかった…
RSフィルター全開ヽ(^o^)丿(笑

吸血鬼ハンターは即決定で、
次に、このサジンのドンワンを吸血鬼役で
登場させようと考えていたの。

でもね、その前に・・・
ヘソンをどう扱うか？

ヘソンの立ち位置を考えながら
書きすすめていったら、
いつまにかヘソンが吸血鬼になってしまって、
このドンワンが登場する前に
完結しちゃった！笑

自分でもびっくり。

とはいえ、ひとまずＲＳがハッピーエンドで
満足しています。笑




ひとつ前のお話
TW：60分お題【エイプリルフール】




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