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俺の気持ちを知ってか知らずか?
ヘソンが同じマンションに引っ越したあの日から
俺の苦悩は始まり、熱い思いを断ち切る為、
俺はヘソンから離れる事にした。
どこか遠くへ行ってしまおうか?
とはいえ、兵役が…いや神話のメンバーである以上、
遠くへ行く事はできない。
離れる決断をしたものの、
根底にある俺の心はヘソンから離れられず、
とりあえずは上下関係の部屋を離れ、
こっそりと隣の棟へ引っ越した。
「ただいまー」
引っ越したばかりの自宅マンション。
いつもの静かな部屋と違い、
玄関にはいくつもの靴が散乱していた。
あちこちに置かれたダンボールを避けながら
リビングへと向かう。
光の射す部屋から、わいわいと声が響いてきた。
「おぉ、エリック!お帰り!!」
「遅かったなー」
「お前達、靴くらいは揃えて上がれよー」
引っ越し祝いと称して、ヘソン以外のメンバーが集まった。
「もうすっかり宴が始まってんだな」
「お前が遅いんだよっ!早く飲め飲めっ」
ドンワンの言葉を聞きながら
俺はカバンを下ろし、ソファーに座る。
「ヒョン、何飲む?あ、何か食べる?それかお風呂が先?」
エンディがコップとお箸を差し出す。
「とりあえずシャワー浴びてくるよ」
つまみを一つ口に入れ、
部屋を後にした。
浴室を出て、リビングの
空いてる場所に腰を下ろす。
「ヒョン、何で引越し先が隣の棟なの?
あんまり意味ないじゃん!」
「いや…その…気分転換だよ!」
まさかヘソンが原因だとは言えるわけもなく。。。
「それよりお前達、ヘソンにはこの部屋の事
言ってないだろうな?!!」
「ヘソン?誰だそいつ?」
「は?ヘソンだよ、ヘソン」
「新しい彼女?」
「エリック、お前何言ってんの?」
「ヒョン、どっかで頭でも打った?」
皆が口々に可笑しな事を言う。
「おいおいおいおい、シナのメインボーカリストの
シンヘソンだよ」
「エリック、お前まじで大丈夫か?
シナのメインボーカルは俺とドンワンだぞ」
ミヌとドンワが顔を合わせた。
「冗談は止めてくれっ、俺をだまそうとしてるな?」
「冗談はどっちだよ?」
「あ、これはドッキリか??」
部屋中を指さしながら見渡すが、
カメラはなさそうだ・・・
「ヒョン、CD聴けばわかるじゃん」
エンディが棚から適当にCDを取り出しセットする。
「エンディ、そのジャケット貸せっ」
立ち上がり、エンディが持っていたState Of The Artの
ジャケットを見る。
ヘソンが写ってない!?
「どういうことだ?!!!」
「何が?俺達10年以上も5人グループでやってきたじゃないか!」
ミヌが立ち上がりジャケットを覗き込む。
「ヘソンが居ないんだ・・・ここに立ってるはずの…」
「だから、ヘソンって誰だよ」
「ヒョン大丈夫?」
周りの声など耳に入らない。
「エンディ、音大きくして!」
全員が曲に耳を澄ます。
~♪Midnight Girl♪~
「ない・・・!ヘソンのボーカルラインがない」
俺は力なくソファに座った。
「ヘソンは何処いった?どういう事だ?
お前達、本当にヘソンの事知らないのか?」
「エリック、どうした?熱でもあるのか?」
ミヌが俺の顔を覗き込み、額に手を当てる。
とにかく頭の中が真っ白だった。
意味がわからない…
「…ヘソン…が…居ないんだ」
「わかった、わかったから…ヘソンって
どんな奴なんだ?」
ミヌが肩に手を回す。
ヘソンが居ないなんて、
想像した事さえなかった。
何から説明していいか分からず、
ただ目頭が熱くなり、涙があふれてきた。
「ヒョン、泣かないでー」
皆が心配そうに集まってくる。
「ヘソンが居ないなんて…嘘だ」
「嘘って言われても…?」
「俺…シナはもう続けられない。」
「オイオイ、リーダー!俺達はどうなるんだよ?!」
呆れた声でドンワンが言い、
落ち着いたトーンで優しくミヌが質問する。
「ヘソンって大切な人なのか?」
「大切?そんな簡単な言葉じゃ言えない。」
頭を抱え、床を見つめた。
「ヘソンは気が強くいのに泣き虫で…
いつ…も…俺の…事…避け・・・っ」
体の中心からこみ上げてくる涙で言葉にらない。
俺の呼吸が整うのを皆は静かに待っていた。
「奴は…ヘソンは…俺が嫌いかもしれないけど、
俺はそんなヘソンが大好きなんだ。
兵役中だからヘソンと一緒に仕事をする事もないし、
アイツ、俺の事避けてるから誘いにいくいし、
俺の上にヘソンが住んでるって思うだけで、
色々と辛くて…。
男同士でこんな事思うなんて変だろう?
なのに…ヘソンが存在しないなんて、そんなの嘘だ!!
俺、もう生きていけない」
ミヌが背中をゆっくりとなでる。
「俺、ヘソンの部屋に行って来る!」
そう言って立ち上がると、ミヌが俺の手を掴んだ。
「待て!お前、なんで素直に言わなかったんだ?」
「え?」
その時、少し離れたクローゼットの前に立つ
エンディと目が合い、中からすすり泣く声が聞こえてきた。
?!
俺は急いでクローゼットへ向かう。
「どけ、エンディ」
俺の目を見つめ、首を左右に振る。
「どけったら!」
エンディを払いのけ、クローゼットを開けた。
「ヘソン!!」
膝を抱え、声なく号泣するヘソンが居た。
俺は勢いよくメンバーを怒鳴った。
「どういう事だ?!!!!」
「怒るなって~」
「怒らずにいれるかかよ!!」
「お前が何も言わず、勝手に引っ越すから悪いんだ!」
「エリヒョン、ヘソンヒョンはずっと悩んでたんだよ」
「そう、ヘソンはずっとお前の事が好きなのに、
お前はファンの前しかヘソンを相手にしない。
ヘソンがやっとお前の近くに引っ越したのに、
お前が逃げたんだぞ!」
「何言ってるんだ?ヘソンが俺を好き?
ちょっと待てよ!俺はファンの前でさえ
ヘソンに敬遠されてるぞ?!」
「おいおいエリック、まじで言ってんの?
ヘソンの性格を考えたらわかるだろう?」
「え…?」
ミヌの言葉を理解できずにいた。
「何?でも、ヘソンはジニに興味があるんだろ?
いつもジニと仲良くしてるじゃないか?」
「違うよヒョン、俺はヘソンヒョンの
相談にのってただけだよ。
もっとも、ヤキモチやかせようとした時もあったし、
俺だってヒョンの事を好きだったけど、
エリヒョンじゃないとダメだって言われて失恋したょT_T」
「お前達はバカだよな~。さっさとお互いの気持ちを
伝えればいいのに…それにしても、
俺達かなり演技派男優だなー!ヘソン以外は!」
ドンワンが何故か楽しそうに笑い飛ばした。
「エリヒョン、ジャケットと音源のヘソンヒョン抜きの細工、
よく出来てるでしょ?歌の録り直しまでしたんだよ!」
エンディをチラっと睨み、”ゴツン”とゲンコツをする。
「ミヌヒョーン、エリヒョンが殴った~T_T」
ミヌがエンディを抱き寄せ、皆に目配せする。
「これ以上ココに居ると悪酔いしそうだし、
そろそろ帰るかっ」
「俺まだ飲みた…っ」
そんなエンディの口をミヌが押さえ、
帰り支度を始める。
「エリック~、あと頼んだぞー。」
あっという間に皆が出て行き、
急に部屋が静まり返る。
俯いたままのヘソンと二人、
何かと気まずい空気が漂う。
ヘソンの横にしゃがみ、小さくため息をついた。
クローゼットに迷い込んだ子猫のように、
小さく肩を震わせて、
シクシクと泣き止む様子もない。
そんなヘソンが可愛くて、
いつまでも眺めておこうと思ったが…
「ヘソン、俺の気持ち聞いただろ?」
急にしゃくり上げて泣き出す。
「もう泣くなって~」
10年以上メンバーとしてヘソンと付き合ってきた。
その間、俺の片思いだと思っていたのに、
ヘソンも俺が好きだった?
急展開すぎて理解に苦しむ…
難しく考えるな俺。
俺はヘソンが好きだ。
そしてヘソンも俺が好きって事だよな?!
うん、そうだ、簡単な事だ!
「ヘソン、俺のこと好きか?」
涙を拭いながら、大きく頷くヘソン。
これまでの俺への態度を考えると、
決してヘソンが俺を好きだったとは
考え難いが、やはりミヌの言う通り、
愛情の裏返しならば、理解できる。
むしろ俺の事を好き過ぎるって事だよな?
そんなヘソンからの合図を
俺は10年以上も見過ごしてきたのか?
…俺のバカ。
いや、でもヘソンが素直に言わないから
分らないんだ!
そうだ、ヘソンが悪い!
「ヘソ~ン、お前、素直になれよなー」
「エリックも」
「何っ」
こんな時だけ返答しやがって…。
でも、ヘソンを好きなあまり、
遠ざけてしまった結果こうなったわけだし、
やっぱり俺も素直じゃないのか。
俺達似たものどうしなのか?
そんな事を考えながら、立ち上がる。
「ヘソン、俺のクローゼットに住む気か?
早く出てこいよ」
ゆっくりと顔をあげ、ウルウルとした目で
両手を俺に伸ばしてきた。
「エリック、手っ」
上を向いたヘソンの頬をサーっと伝わる涙。
綺麗だ。
そして、か…可愛い。
急にどうした?
素直に甘えるヘソンに動揺する。
ヘソンの両手を引っ張ると、
勢いよくヘソンが抱きついてきた。
「エリック、大好き」
わっ!
ヘソンへ投げた球は常に打ち返されてきたけれど、
ヘソンからの直球をどう受け取っていいかわからない。
でも、これからはヘソンが投げた球は
1球も見過ごすことなく受け止めようと思う。
俺は腕の中にいる素直なヘソンを
ギュっと抱きしめた。
程なくして、ヘソンも引越しをし、
俺と同じ部屋番号になった。
おわり。
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下手な文章にお付き合い頂き、
ありがとうございました。
ヘソンが引越しをする噂があった時に書いたものですが、
(丁度、ドラマの「素直になれなくて」があっていた頃です)
結局りくしょんで仲良くお引越しの結果を聞き、
改めて修正し、アップさせてもらいました。
海外ファンミの時、「エリが先に引っ越したんだよ・・・」と、
ニヤニヤしながら言っていたヘソン、可愛かったですね♪
エリが先に引っ越した?
いやいや、アナタが追いかけたんでしょ?と、
勝手な妄想の世界に入ってしまいます。笑
Midnight Girlは大好きな曲のひとつですが、
ヘソン抜きのMidnight Girlなんて考えられませんね。
逆に聴いてみたい感じもありますが・・・・
以前Midnight GirlにエフェクトをかけてRemixを作ったので、
後ほどアップします。
よかったら聴いてくださ~い。